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地域金融機関の再編を促す金融庁の動きについて

 金融庁は昨年(2013年)12月、業界団体との意見交換会において、人口予測から推計した10年後の地域市場の模様と地域銀行の総資金利鞘でみた収益率の比較資料「金融機関の将来にわたる収益構造の分析について」を配布し説明した。その内容として、市場規模について「全体として人口が減少するため、市場規模がプラスになる地域はなく、一部地域では10年あまりで地元市場の規模が3割近く縮小することになる」と述べている。また、収益率についても「バランスシートの大きさと資金利益は総じて比例するが、バランスシートの縮小を余儀なくされるような地域が多いということである」と述べている。

 ところで、金融機関に中期経営計画のヒアリングを実施したところ、「多くの金融機関が平均57%の貸出金の増加を見込んでいる」ことから「定型的な住宅ローン、優良企業向け運転資金の融資、信用保証協会付き融資等が増える計画になっているのではないか」また、「このような融資はあまり金利をとれないため、スプレッドが落ちる分を大都市圏への進出で量をカバーし、これで足りない分は、経費削減や長期国債のキャリーで稼いだり、投信の販売手数料でカバーしたりする傾向がみられる」、そして問題として「こうしたビジネスモデルが持続可能であるか」、さらに、「収益源が持続性という観点から大きな問題を抱えているのではないか」と指摘している。一方で、自らが推進してきた「目利き能力やコンサルティング機能の発揮」により「サービスの質を上げ顧客基盤を充実させる、ソリューション型ビジネスモデル」や「そうした方法は難しいのか」とも述べている。

 また、今年1月の同意見交換会では、畑中長官自らが「地域銀行の皆様へのお願い」として「責任ある経営判断を迅速に行い、そして持続可能なビジネスモデルを目指していただきたい」「・・・経営上の重要課題を客観的に距離を置いて冷徹に認識し、そのうえで先送りせずに、リーダーシップを発揮して果敢に取り組んでいただきたい」「昨年も同様に申しあげたが、今年は答えを出す年だと思う」、また例の「金融機関の将来にわたる収益構造の分析について」の内容から「・・・多くの地方銀行で黄信号が点滅しているような大変厳しい状況になる」「他行との業務提携や経営統合なども経営課題として考えてほしい」とまで言われた。

 そこで金融庁としては、各金融機関のモニタリングを実施して、はたして個別行のビジネスモデルが持続可能かどうかを検証したという一連の流れが出来上がるわけである。当行も同じくモニタリングを受けている。

 これらの発言を受けて、マスコミが記事にして「地域金融機関の経営が危ない」とか「地方銀行の再編が必要だ」などという論調を書き立てている。過去にメガバンクの統合でシステムトラブルがあったせいか、ご丁寧に各地方銀行が使用しているシステムの一覧表まで掲載する念の入れようであった。安倍政権がアベノミクスの成長戦略に盛り込んだ「スーパーリージョナルバンク」という広域統合をも視野に入れて書かれている記事もある。

 要約して申しあげれば、人口減少化のもとで現在のビジネスモデルのままでは10年後には経営として非常に厳しいことが想定されるため、経営統合などを決断される年だと捉えることができる。

 私たち組合は、これまで金融庁が進めてきた新自由主義に基づく金融行政がそもそも誤りであり、現在の日本経済を作り出した一因であると考えている。

当行は「自分の城は自分で守る」という信念を貫いてこられ、その信念は今後も変らないと思う。ここまでの金融庁の考え方や発言、マスコミの記事に対して行員を励ますためにも積極的な反論をされるべきであろう。

労使懇話会(2014.7.25)の組合主張より


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