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経済の閉塞感を打開する

経済をどのように活性化するのか。財界が主張する「国際競争力」強化ではどうにもならないことが明らかとなっている。私たちがよくお世話になる山家悠紀夫さんは、「日本のデフレ原因は賃下げである。賃金を抑えることによって物価が下がり、表面的には円の価値が高まり円高になる」と主張されている。この考え方は組合も同感であり多いに支持したいと考える。賃上げによる消費購買力が日本経済を活性化するという考え方は組合の従来主張である。構造改革のもとで雇用分野の規制緩和を実施した結果、安い労働力が使えるようになった。欧州のように同一労働同一賃金という原則に立ち返るべきだと考える。

また、グローバル化の時代といえども、世界的に経済の不透明感が払拭できない時代には、内需を活発にすることが景気対策の一番であると考える。大企業の内部留保は09年度で244兆円にのぼるとのことである。財界は国際競争力の強化が必要だと財界は主張しているようだが、それこそが日本経済停滞を招いている理由だと考える。生産活動などに必要な投資をしたうえで、それでも資金があまっている。それほど余分な蓄えを溜め込んでいるのだと思う。しかし財界は、円高や株安を理由に企業減税を政府に要望しているが、減税する意味も効果もないと考える。法人税だけでなく、社会保険料を合わせた負担では日本企業の負担は軽いのが実態だ。大企業向けの優遇税制措置もある。

賃金を引き上げ、大企業の内部留保の一部を吐き出させて消費税増税でなく庶民減税を行うことで消費を活発にすることこそが景気回復への道だと考える。

政府が最近打ち出した新成長戦略の実現に向けて「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」のなかで金融の2つの役割をあげている。第一の役割は実体経済を支えること。これは一定評価しても良いと考える。しかし、第二の役割は、「金融自身が成長産業として経済をリードすること」としている。しかし、この政策は日銀のゼロ金利施策とあわせて投機バブルを助長する流れを呼び込みかねないと考える。

「波紋」 2011年4月 第329号

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