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地域経済のバランス崩す

TPPについてはマスコミの論調が偏っているためか、農業と輸出の問題というイメージをもって捉える傾向があるように思う。しかし、実際はそのほかの分野にも多大な影響を及ぼす恐れがあると思われる。

TPPは一部の輸出大企業にとってはメリットが大きいシステムだと思うが、逆に地域経済にとってはどうか。そもそも地域は、労働者(サラリーマン)や農家、中小企業などが中心に成り立っている。なかには大企業が一部を占める場合もあるだろうが、その割合は非常に低いものと思われる。その地域経済の需要に対して海外からの供給でまかなうということが現実になるシステムがTPPである。地域経済に対して責任ある地方銀行として由々しき事態であると考える。

さらに、景気回復との関連でTPPについては別の考え方もある。日本の戦後の景気復興は国内消費者が企業の製品に対して要望の声をあげたことが製品の技術革新に繋がったと指摘したうえで、今の国際競争力は技術力の競争でなく価格競争であることから、より高い技術力を磨き世界と競争することが長い眼で見て国益にかなうという考え方である。

資本の本質としてグローバル化が避けられないのであれば、今回のような自然災害に耐えうるような製品、環境へ配慮した製品なども考えると筋の通った話だと思う。

また、TPPは雇用にも影響が及ぶと聞く。廣宮孝信氏が著書「TPPが日本を壊す」のなかで次のように述べられている。「労働については、TPPと同時に締結される予定の『労働協約に関する覚書』というものが存在し・・・(中略)・・・例えば日本人労働者に対する労働政策を海外の国々と合わせる、場合によっては労働条件や雇用保険などの社会保障条項もあわせなければなりません」。このことで日本の労働環境は激変する恐れがあるとも指摘されている。

私たち日本の労働者の働き方が脅かされているのと同じことである。しかも結局、企業の利益になるようになっており、許されることではないと考える。

「波紋」 2011年5月 第330号

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