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原発と環境問題

東日本大震災は、これまでの震災と異なり福島第一原発の事故による被害をともなう深刻な状況を引き起こしている。この問題を契機に、新聞紙上やテレビなどで毎日「脱原発」という言葉を聞かない日はない。原発のあり方については、エネルギー問題であると同時に環境問題でもある。日本には54基の原発があるが、そのうち滋賀県が隣接する福井県に関西電力の原発が13基あり、また猛毒のプルトニウムを再利用する高速増殖炉「もんじゅ」も含まれている。一度今回のような想定を超える震災や不測の事態が起これば、近畿の水甕であるびわ湖の放射能被害や県民のいのちや暮らしへの影響などは計り知れないと考える。

滋賀報知新聞社説によると福井原発について滋賀県嘉田知事は、6月10日関西電力からの15%節電要請に対し理解を示しながら平凡なコメントを出し、「もっと敏感になるべき」であり、「脱原発」宣言をすべきと揶揄された。その後、6月の定例代表質問で原発再開への「同意権」「拒否権」の具現化を表明。さらに「脱原発」でなく「卒原発」を呼びかけているが、「脱原発」との相違点は見えにくい。

一方、電力会社の姿勢も「原発ありき」一辺倒である。原発推進学者を使った根拠のない「安全神話」による世論誘導や東京電力福島第一原発の事故隠し、九州電力の「やらせメール」などは眼に余るものがある。関西電力は福井の原発についていまなお「安全神話」を繰り返すばかりで、反省のかけらもないと聞いている。もちろん、これらの背景に国のエネルギー行政の拙さがあるのは言うまでもないが、あまりにもお粗末である。

「波紋」 2011年7月 第332号

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